ているです。
先日コシヒカリを出荷して稲作がひと段落したので、2018年の稲作についてのまとめました。
今年のコシヒカリは天候不順の割に、質はいいという評価のようですが作り手としてはかなり作りづらい年でした。
今回のブログでは、天候・施肥体系・収穫量の視点から2018年の稲作について考察していこうと思います。
この記事の目次
2018年の天候
2018年は、例年に比べて異常気象が多い年でした。
7月の猛暑と雨不足。
うちの村では、7月14日から8月4日まで22日間まったく雨が降りませんでした。
さらに平年であれば7月の平均気温は23℃前後なのですが、2018年は連日最高気温30℃越えの日が続き平均気温は26℃前後でした。
田んぼに水がかけられず土がひび割れている田んぼが多くありました。
出穂直前の最も水が必要な時期に水がない状態。
また平均気温、特に夜間気温が高いと稲の呼吸速度が速くなり光合成で蓄えた炭水化物を消費してしまいます。
8月の台風による大雨と強風
かと思いきや、8月に入ると7月の水不足を取り返すかのように台風による大雨と強風に見舞われました。
待望の雨でしたが、出穂の時期と重なったことで受粉障害が発生し実がならない白穂があちこちで見られました。
この時点で今年は収量が少ないような気がしていました。
雨も1度降ると洪水警報が出るような雨ばかりでした。
2018年の稲作で最も影響があったのは間違いなく7月、8月の天候不良だと思います。
しかし、この他にも5,6月の稲が田んぼに根を張る時期の気温が低く、育ちがよくありませんでした。
2018年の施肥体系
2018年は、
春に荒ぐり前の基肥散布。
田植え時に、側条で施肥。
出穂3週間前にソフトシリカを散布。
出穂前2週間前くらいに穂肥を2回に分けて施肥。
出穂1週間前位に穂肥を施肥。
出穂後カメムシなどの病害虫防除を2回おこないました。
例年であれば、穂肥は2回しかおこなわないのですが、今年は高温で窒素が消費されてしまい穂の色が濃くならなかったために3回目の穂肥をおこないました。
2018年の収穫量
2018年は平年に比べて収量がかなり落ちました。
原因はやはり天候不良だと思います。
米の収量は、穂数・一穂籾数・登熟歩合・千粒重で決まると言われています。
(穂数は一株当たりの稲穂の数。一穂籾数は穂1本あたりのもみの数。登熟歩合は米の熟し具合。千粒重は玄米1000粒当たりの重さ。)
2018年は生育初期の低温で分げつが遅れ穂数が例年より少なくなりました。
これらの要素には、補償関係があるので例年であれば穂数が少なくなっても一穂籾数がその分増加したり、千粒重が増加して収量を補ってくれるのですが、7月8月の異常気象で補償関係がうまく機能しませんでした。
特に、高温の日が続くと登熟速度は早くなるものの、登熟期間が短くなると言われています。
本来であれば、1日10づつ登熟して10日で登熟歩合が100になるとすると、高温の年だと1日12づつ登熟するものの7日しか登熟せず登熟歩合が94になってしまう。
と、いうようなことが起こります。
実際今年は登熟歩合が悪くくず米と呼ばれる規格外の米が多くみられました。
写真上が出荷玄米、下がくず米です。
くず米は、粒が小さくまだ青い米が多いです。
くず米が多いのもあって、例年であれば10俵/反くらいの収量があるのですが、2018年の収量は平均で8.5俵/反くらいでした。
ただ、唯一収量が少なくて助かったことは台風の影響です。
例年であれば今年のように何度も台風が直撃すると穂の重さで稲が潰れてしまいます。
しかし、今年は籾が少なかったおかげで稲が潰れることがなく簡単に刈り取ることができました。
まとめ
2018年はまれにみる異常気象の年でした。
収量も過去5年で1番少ないです。
稲作は毎年思い通りにいかないところが面白いところでもあり、もどかしいところでもあります。
これから年々気温が上がっていくと予想されています。
それに伴って異常気象も年々増えていくような気がします。
来年からは食味や収量だけではなく気候に負けない稲作りをめざして研究していきたいと思います。