6月に入り、九州では梅雨入りしたとニュースになっていますが、新潟はまだまだ晴れて暑い日が続いています。
天気がいいので草刈りなど農作業がはかどるのですが、雨が降らずに天気がいい日が続くと田んぼにある異変が起こります。
ごらんのとおり田んぼの表面が緑色の物質でおおわれてしまっています。しかも、触るとぬめぬめします。
実はこれはアオミドロという藻類の植物なんです。
このアオミドロは稲成長の妨げになってしまうのですが、一度発生してしまうと駆除するのがとても大変な植物なんです。
今回はそんなアオミドロの対策について紹介します。
この記事の目次
アオミドロとは
アオミドロとは、アオミドロ属に属する藻類の総称で、枝分かれせず一直線に成長する藻です。
水温が高く、栄養があり、日照時間が長い環境下で発生します。
放っておくと写真のように水面にカーペットのように広がったり、水中で稲にこびりついたりしてしまいます。
この時期の田んぼは、水温が25℃~35℃くらいになり、肥料を散布しているので田んぼに栄養もあり、日照時間も長いためにアオミドロが発生しやすい状態になっています。
ひどいときにはこんな感じで田んぼ中に広がってしまうこともあります。
アオミドロが発生するとどうなる?
少量のアオミドロであればそこまで影響がありませんが、水面を覆いつくすくらいアオミドロが増えると稲に絡みついて稲を倒してしまいます。
倒れた稲は、そのままだと空気中で呼吸ができずに死んでしまいます。
また、アオミドロの陰になってしまって水温が上がらなくなり、稲の生育に悪影響が出てしまいます。
さらにアオミドロが発生した状態で除草剤を散布しても、除草剤が沈まずに効果が半減してしまいます。
アオミドロを撃退するには
それではアオミドロを撃退するにはどうしたらいいのでしょうか。
今回はアオミドロ用の除草剤に頼らない撃退方法を3つ紹介して、そのメリットとデメリットを解説します。
雨が降るのを待つ
アオミドロはとても光を要求する植物です。
天気が悪く、太陽の光がさえぎられて光合成ができなくなるとアオミドロは勢いがなくなります。
さらに雨が降ることで、アオミドロが拡散されアオミドロは消えてしまいます。
メリット
自分で何か作業をする必要がない。
デメリット
天候に左右されるため、自分の好きなタイミングでアオミドロ対策をおこなえない。
天候任せになるため、デメリットが致命的ですね。
今すぐ対処しないといけないというときには使えない方法ですが、アオミドロが発生しても天気予報が雨予報なら特段対応する必要はありません。
アオミドロが発生したら天気予報をしっかり確認しましょう。笑
落水して田んぼを乾かす
この方法が慣行栽培では最もポピュラーな除草法です。
アオミドロは水の中で繁殖する植物です。
水のない環境では繁殖することができません。
そのため、田んぼの水を落として土が見えるくらい水位を下げることでアオミドロを撃退することができます。
メリット
田んぼを乾かすだけなので、作業としては簡単。
デメリット
稲が水を欲しがっていても田んぼを乾かさなくてはならない。
土を出すことで、雑草が生えてくる可能性がある。
こちらも作業が簡単なことが最大のメリットですね。私の周りの農家さんも大体この方法でアオミドロ対策をおこなっています。
しかし、田んぼの水を落として土を出すとノビエなどの雑草が生えやすくなってしまいます。
除草剤散布をおこなって土の表面が除草剤の層できれいにコーティングされている田んぼなら、土が出ても雑草の被害はほとんどありません。
しかし、除草剤散布にムラがあったり、そもそも除草剤を散布しない無農薬栽培で土を出してしまうとどんどん雑草が生えてきてしまいます。
アオミドロ対策をして雑草を生やしてしまっては本末転倒ですので、無農薬栽培ではなかなか使いづらい方法です。
松を利用する
天気にも頼れない。水も落とせない。
そんな悩みを抱えた人にはぜひ松の枝を利用してみてください。
現代農業や全国農業新聞でも紹介されたのですが、まだまだ知らない人が多いみたいで私の周りでは誰も知りませんでした。
やり方はとても簡単で、松の枝を水田に差すだけです。
私の家では、薪ストーブの着火用に松の枝を使っているのでそれを田んぼに差してみました。
こちらが松の枝。触ると松ヤニが手につきました。
水口と田んぼの4隅に松の枝を設置しました。
水口に置いたのはここから水が入るため松の枝の効果が広がりやすいだろうと思ったから。
田んぼの4隅はアオミドロが発生しやすい箇所だからです。
よく観察してみると、松の枝から松ヤニが流れ出ています。
おそらくアオミドロは松ヤニが苦手なため増殖できないのでしょう。
メリット
松の枝を差すだけ
水位を落とさずにアオミドロ対策ができる
デメリット
松の枝を準備しなければならない
アオミドロが発生してからでは効かないことがあるらしい
今年の無農薬栽培のアオミドロ対策はこの松の枝を利用する方法だけしかおこなっていません。
しかし、周りの田んぼでアオミドロが発生しているなかで、一番深水にしているにもかかわらずまったくアオミドロが発生しませんでした。
今回、私は家にあった松の枝を使用したので細かく切られていますが、葉っぱがついたままの枝でも大丈夫なようです。
松の枝を利用する方法は、慣行栽培、無農薬栽培にかかわらず簡単にアオミドロの発生を抑えることができる方法なので、アオミドロに悩まされている方はぜひ導入してみてはいかがでしょうか。