2019年1月から農家の保険に収入保険制度が新設されました。
この保険は、経営努力では避けられない自然災害や農作物の価格低下などで売り上げが減少した際に減少分の一部を保証してくれるものです。
これまでの農業共済制度の対象にならなかった作物も収入保険の対象になるので万が一に備えて加入する人も多いようです。
しかし、この収入保険制度に加入するためには、1年以上青色申告の実績がなくてはなりません。
私の周りもそうですが、昔からの農業をしている小規模農家さんは白色申告で税金の申告を行っているところが多いです。
実際、日本全国で販売農家は約120万戸ありますが、そのうち青色申告をしている農家はそのうち約44万戸とおよそ3割です。
多くの農家はまだまだ青色申告を行っていない状況ですが、青色申告が収入保険制度の要件に加わったことで青色申告に興味を持った農家さんもいるのではないでしょうか。
収入保険制度に加入したいけど、青色申告は難しそう。
農業会計ソフトを入れて管理したいけどどれがいいのかわからない。
という方向けに今回はおすすめの農業会計ソフトを紹介します。
この記事の目次
そもそも、収入保険制度とは
収入保険制度は2019年1月から始まった新しい農業保険制度です。
始まったばかりの制度なのでまだよくわからない人もいると思いますので、まずは収入保険制度のメリット・デメリットをざっくりと確認してみましょう。
収入保険制度のメリット
- ほとんどすべての農作物に対応
- 自然災害だけでなく、市場価格の低下など農家の経営努力では避けられない収入減少にも対応
今までも、農業共済制度という保険があったのですが、こちらは米や麦、野菜など主要な作物や園芸施設が被害にあった場合に限られていました。
収入保険制度では、共済保険の対象になっていない野菜なども保険でカバーすることができます。
さらに、農業共済制度は収穫量の減少を保証するのに対し、収入保険制度では収穫量の減少に加え、作物の価格低下や農家の病気やケガによって収穫できなかった場合の収入減少に対しても保証されます。
収入保険はこれまでの農業共済制度に比べてより広範囲の収入減少に対して有効な制度だといえます。
収入保険制度のデメリット
- 青色申告をおこない経営管理を適切におこなう必要がある
- 過去5年分の収入で基準収入が決まる
一方で、収入保険制度に加入するためには、青色確定申告をおこなう必要があります。
青色確定申告には、正規の簿記、簡易簿記、現金主義の簡易簿記の3つがありますが、現金主義の簡易簿記の場合は収入保険制度に加入できません。
正規の簿記または簡易簿記で確定申告をしなくてはいけません。
また、1年分の青色申告の実績があれば加入できることになっているものの、過去5年分の確定申告の収入をもとに保証の基準額が決まるのでこれまで青色申告ではなかった人は5年分の青色申告の実績ができるまでは保証額が低くなります。
収入保険制度とは
つまりは、収入保険制度とは経営管理を適切におこなっていれば、収入が減った時に保証しますよ。
という制度です。
裏を返せば、まだまだ経営管理を適切におこなえていない農家さんが多いから、青色申告をおこなって適切に管理すれば手厚く保証しましょう。
と読み解くこともできます。
青色申告をおこなうと最高65万円の青色申告特別控除をはじめ様々な特典を受けることができます。
収入保険制度には入るつもりがなくてもとりあえず節税のために青色申告に切り替える。
というのもありだと思います。
青色申告を始めるには
青色申告をおこなうには、申告をおこなう年の3月15日までに税務署に青色申告承認届出書の届出が必要です。
この届出書を最寄りの税務署に申告することで、その年から青色申告をおこなうことができます。
1日でも遅れると青色申告を始めるのを1年待たなければいけないので注意してください。
青色申告をするつもりで青色申告承認届出書を出したけど、やっぱり今まで通りの方法で申告したいということも可能です。
なので、とりあえず挑戦してみることをおすすめします。
簿記の知識がない方でも会計ソフトを使うことで比較的簡単に青色申告の書類を作ることができます。
青色申告におすすめ農業会計ソフト
青色申告で確定申告をおこなうのは複式簿記による記帳と貸借対照表、損益計算書などが必要になります。
そういわれると簿記がわからない人にとって、青色申告は敷居が高いもの。
と、思われることがありますが、最近は様々な会計ソフトが出ていて簿記の知識がなくても青色申告をおこなうことができるようになっています。
そこでおすすめしたいのは、会計ソフトfreeeです。
このソフトを使うとステップに沿って入力するだけで、簡単に確定申告書類を作成することができます。
freeeの特徴1:銀行口座やクレジットカードを自動入力
銀行口座やクレジットカードを登録すると、自動で同期して仕分けをおこなってくれます。
日付や金額だけでなく、勘定科目を推測して自動入力してくれます。
スマホのアプリを入れておくと銀行口座の増減やクレジットカードを使用があると通知が来るので、出先でもサクッと仕分けをしてしまうことができます。
お金の出入りがあった時にすぐに仕分けしてしまえるので、毎年書類をため込んでしまうような人にもおすすめです。
freeeの特徴2:簿記の知識が不要
いつ・どこで・何に使ったかを入力すると自動的に複式簿記の形に変換してくれるので、簿記の知識がなくても入力することができます。
また、仕分けの仕方がわからない場合はチャットで問い合わせができるので、安心して使うことができます。
freeeの特徴3:農業所得の確定申告に対応
昨年度の確定申告からから農業の確定申告に対応しました。
簡単な勘定科目の設定だけで農業所得の確定申告をおこなうことができます。
農業所得に対応した会計ソフトはほかにもいろいろありますが、簿記の知識が必要なくてスマホで処理できるのは現在のところfreeeだけです。
freeeの特徴4:費用が安い
青色申告の場合、税理士さんに経理を依頼すると月額費用は最低でも1万円、確定申告の書類作成には最低でも5万円ほど必要です。
一方で、freeeはスタータープラン(月額980円)、スタンダードプラン(月額1980円)で使用することができます。
日々のランニングコストが安いのも魅力の一つです。
終わりに
今回は新たに始まった収入保険制度の紹介と収入保険制度に加入するうえで必須の青色申告について解説しました。
収入保険制度は始まったばかりの制度のため、まだ様子をみる。
保険料が高いから今までの農業共済で十分だからまだ収入保険やるつもりはない。
という声もちらほら聞こえています。
しかし、収入保険に加入するには青色申告で確定申告をおこなっておく必要があります。
青色確定申告は、白色申告と違って多少手間がかかりますが、会計ソフトを使うことで簡単に始めることができます。
また、青色申告で確定申告をおこなうと、最大65万円の控除を受けることができるだけでなく、赤字の繰り越しや、家族への給与を費用にできるなどのメリットもあります。
現在は加入するつもりがなくても、いざ入りたいと思った時に青色申告をしていなかったから収入保険に入れなかった。
ということがないように、今年から会計ソフトfreeeを使って青色申告に挑戦してみてはいかがでしょうか。