お店で米を買うときにはさかけ米という単語を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、はさかけ米と書かれている米は、普通の米に比べて価格が高く設定されていると思います。
この記事では
・なぜはさかけ米は高いのか
・はさかけ以外の乾燥方法
を紹介します。
この記事の目次
はさかけとは
はさかけとは、収穫した稲を乾燥させる方法の一つです。
収穫直後の稲はもみの水分量が多いため、そのままでは腐りやすく長期保存には向きません。
そこで、もみを乾燥させることで長期保存ができる状態にします。
はさかけは、稲を長期保存に適した水分量に調節する方法と言えます。
一昔前までは稲刈りと言えば、手刈りが主流でした。
手で刈り取った稲を束ねて、はさにかけ、天日で数日から数週間乾燥させてから脱穀していました。
しかし、近年の機械化の流れの中ではさかけをする農家はほとんどいなくなってしまいました。
穀物用の乾燥機が発明されたことで、もみを乾燥する手間が大幅少なくなりました。
コンバインで稲刈りと同時に脱穀をおこない、収穫したもみを乾燥機に入れることで、一晩で保存に適する水分量に調節することができるようになりました。
その結果手間のかかるはさかけはほとんど行われなくなってしまいました。
はさかけ米の難しい点
はさかけは天日で乾燥させるため、天候に左右されてしまうという欠点があります。
稲刈り後天気のいい日が続いてくれれば、はさかけ米はとてもおいしいお米に仕上がります。
しかし、天気の悪い日が続くともみが乾かずに腐ってしまうこともあります。
また、はさかけは稲刈り後に稲を束ねて、はさにかけ、もみが乾いたら脱穀をするため手間がかかります。
手間がかかる分稲刈りできる面積は少なくなってしまいます。
結果として、はさかけ米は希少価値があるため、普通の米と比べて高価になっています。
はさかけ米がおいしい秘密
機械乾燥に取って代わられたはさかけですが、はさかけだからこその良さもあります。
刈り取り後、逆さにつるされた稲は稲葉に残された旨味が穂に吸収されます。
その結果、食べたときの食感がよくなり、甘みと香りも増します。
また、もみを乾燥するときに高温で乾燥すると食味が落ちると言われています。
はかさけすることで天日でゆっくりと乾燥することができるので、美味しいお米になります。
乾燥機とは
はさかけが全国から姿を消したのと同時に穀物用の乾燥機を使った乾燥が主流になりました。
乾燥機が使われ始めたことで、はさを用意する手間やはさかけの手間が減り、乾燥にかかる時間も大幅に短くなりました。
その結果、耕作面積を増やすことができるようになり、農家の経営規模が格段に大きくなりました。
乾燥機を使うメリット
乾燥機を使う一番のメリットは、時間と手間を省くことができることです。
乾燥機を使うと、1晩で大量のもみを乾燥させることができます。
はさかけに比べると労力に雲泥の差があります。
2つ目は、天候に左右されないことです。
はさかけは野外でおこなうため、天気によって乾燥期間が変わってしまいます。
雨続きだともみが腐る可能性があり、風が強いとはさがが倒れてしまう危険性もあります。
乾燥機を使うデメリット
便利な乾燥機ですが、デメリットもあります。
乾燥機は普通一晩から一日程度でもみを保存可能な水分量まで乾燥させます。
はさかけと違って一気に乾燥させるので、乾燥させすぎてひび割れが起こる可能性があります。
じっくり乾燥した場合に比べると食味も落ちやすいと言われています。
乾燥機でもおいしい米にする方法
はさかけに比べると味が落ちると言われがちな乾燥機ですが、最近は乾燥機の性能が良くなりはさかけに近い味を再現できる乾燥機も出てきました。
また、わざと低温で時間をかけて乾燥することで、食味を落とさない乾燥方法も開発され始めています。
JAに出す米は食味が関係ないので手早く乾燥をおこない、時間をかけて低温で乾燥させた良食味の米は直販するという農家さんもいます。
乾燥機の性能を120%発揮することができれば、はさかけにも負けない食味を手に入れられることも可能かもしれません。
まとめ
今回の記事では、はさかけ米のおいしさの秘密とはさかけ米を作るためにかかる手間について紹介しました。
機械乾燥に比べると時間も手間もかかるはさかけ米ですが、時間と手間をかけた分甘く香り高くなります。
天気のいい日に外に干した布団で寝ると気持ちがいいように、はさかけをして天日で干すことで太陽の力でおいしくなるのかもしれません。