田植え後は水をあまり張らないほうが初期活着がいい。
田植え後は稲を寒さから保護するために深水にして保温したほうがいい。
田植え後の水管理には、2つのまったく異なるやり方があります。
米は日本全国で作られている作物なので、その土地土地に合わせて様々なやり方が開発されてきたのでしょう。
とはいえ、初期の水管理をどうしようかと迷ったときに2つのまったく正反対の意見を言われるとどちらの方法で水管理していいかわかりません。
そこで今回は、田植え後の浅水と深水のメリットとデメリットについて解説してみようと思います。
浅水栽培
浅水栽培は、田植え後に水をあまり張らずに稲を生育する方法です。
水深は1~2cm程度で、土がところどころ見えるくらいをキープします。
浅水栽培のメリット
浅水栽培にする一番のメリットは、活着がよくなることです。
浅水にすることで苗が酸欠にならずに土をしっかりキャッチするので苗が早く田んぼになじむことができます。
しっかり植えられず、横になってしまった苗でも、根付いて伸びることがあります。
水を張ってから気づいたのですが、しっかり植え付けられなかった苗が根を伸ばして活着しようとしている写真です。
浅水にすることで、多少植わりが悪い苗もしっかり根付くことができます。
浅水栽培のデメリット
浅水栽培のデメリットは、風や寒さから苗を守ることができないことです。
飢えたばかりの苗は、田んぼになじんでいないのでどうしても田植え後は苗が弱ってしまいます。
そんな状態で、風が強かったり寒かったりして苗にとって過酷な環境に置かれると苗が弱ってしまいます。
写真は今年のうちの田んぼの様子ですが、今年は田植え後に風が強い日が続いて「植え傷み」で黄色なってしまっています。
また、水が少ないと雑草も生えてきやすくなります。
稲が活着しやすいのと同様に雑草も発芽しやすくなってしまいます。
深水栽培
田植え後の深水栽培は、3~4cmくらいに水を張る方法です。
深水といっても、苗が小さいのであまり深く水を張ることはできません。
あくまで苗を風や寒さから守る程度のやや深めに水を張ります。
深水栽培のメリット
深水栽培のメリットは、田植え直後の苗を風や寒さから守ることができることです。
水は空気に比べて保温力があるので、水を張ることで苗を急激な温度変化や強風から守られます。
私の周りのJAでも田植え後は水をやや深めに張って苗を保護することを推奨しています。
深水栽培のデメリット
深水管理のデメリットは、植え付けが浅い等の植わりが悪い苗が浮いてしまって流されてしまい欠株になる可能性があることです。
欠株を防ぐために植え付け深さを深くして、苗を深く植える方法もあります。
しかし、田んぼの土は表面に近いほど温度が高く、下に行くほど温度が下がるので生育が遅れてしまいます。
まとめ
今回は、田植え後の水管理について2つの方法と、そのメリットとデメリットを紹介しました。
どちらもメリットとデメリットがあるけど結局どっちがいいの?
と思う方もいるかと思いますが、その年の天候や土地ごとで何を優先すべきなのかが変わってくると思います。
私も今年は浅水管理を選択しましたが、強風で苗が黄色くなってしまいました。
今年に関しては、深水のほうがよかったのかもしれません。
とはいえ、浅水管理のほうがいい年もあると思います。
我が家の田んぼに関していえば、来年からは基本は浅水管理だけど天候を見て深水で苗を保護するのがいいかなと考えています。