我が家では、2019年の確定申告から青色に切り替えました。
青色申告をするにあたって今までエクセル管理だった経理作業をクラウド会計ソフトfreeeを使って行うことにしました。
結論から言うと一度使うと会計ソフトなしではもう経理作業は出来なくなってしまっています。
今回の記事では、私が数年間freeeを使ってみて分かったメリットとデメリットを紹介したいと思います。
2021年1月から電子帳簿保存法が改定されましたが、会計ソフト業界でいち早く全料金プランで電子帳簿保存法対応を発表しました。
この記事の目次
我が家の経営状況
メリットとデメリットの説明の前に我が家の農業の経営状況を簡単に説明します。
我が家は主に約3ヘクタールの田んぼで稲作をおこなっている農家です。
規模としては一般的な家族経営の中小規模稲作農家です。
2018年までは白色申告で確定申告をしていましたが、2019年からfreeeを導入して青色申告をしています。
法人ではなく個人事業主として経営をおこなっていて、売り上げが1000万円以下のため
freeeを使ってみて分かったメリット
記帳をする習慣がついた
記帳する習慣と会計ソフトに関係があるのかと思う人もいるかと思いますが、私にとって初めての青色確定申告をスムーズに終わらせられた一番の要因だったと思います。
今までは白色申告だったこともあり、2月ごろになって慌てて1年間すべての記帳をおこなっていました。
会計ソフトも使わずに、エクセルで管理していました。
もし、今まで通り青色申告をエクセルで1年分やっていたとしたら、通帳の残高と記帳を合わせることができなかったと思います。
一方で、freeeは入金や出金があると通知がきます。
「未登録明細が○○件あります」と通知してくれることで記帳しなければいけない!という気持ちになります。
結果的に、請求書をためることなく記帳を続けることができました。
通帳やカードと自動同期してくれる
freeeは口座の残高やカードの使用履歴を自動で同期してくれます。
今まで自分でやらなければならなかった作業が自動化されたのには感動しました。
仕分けをして口座残高と実残高が違っていれば仕分け漏れや仕分け間違いがあるということなので、検算の代わりにもなります。
仕分けをAIで予測してくれる
freeeは口座から引き落としやカードの利用をするとその内容をAIが予測して自動で仕分けを作成してくれます。
例えば口座から「スイドウリョウ」という引き落としがあれば光熱水費ではないかと予測する感じです。
この予測機能は自動仕訳ルールを入力することで学習させることができるので普段よく使う仕分けを登録しておくとあっという間に仕分け作業を終わらせることができます。
スマホで処理ができる
freeeはクラウド会計ソフトなのでいちいちパソコンを立ち上げなくてもスマホ上で処理ができます。
自動取得したデータの確認や修正ができるだけでなく、レシートを撮影するとレシートの内容をAIが予測して仕訳を作ってくれます。
2021年の電子帳簿保存法の改定で、スマホでレシートを撮影してfreeeにアップロードすれば、アップロード済みのレシートの破棄が可能になったのでさらにスマホでの経理作業が便利になりました。
農業所得の確定申告に対応している
freeeは2018年から農業の確定申告に対応しました。
農業所得の決算書は特殊なレイアウトなのですがスタンダードプラン以上のプランであれば、農業所得用の確定申告書類を作成することができます。
決算処理で、必要な情報を入力するだけで農業所得のレイアウトの確定申告書類ができあがるので簡単です。
集計機能が充実している
経営状況を確認するうえで、資金繰りや費用構成を把握することが大切です。
肥料代はいくらかかったのか、それに対して売り上げがどのくらいなのか。
これからの時代は農業も数字での管理が必要になっています。
freeeには、取引先やタグごとに集計してグラフ化してくれる機能がついています。
これらの集計機能を利用することで、経営管理に役立ちます。
スキャナ保存に対応している
freeeは2021年に改訂された電子帳簿保存法にいち早く対応しました。
この改定で、領収書をスキャナ保存する要件が大幅に緩和され、データでの領収書管理に移行しやすくなりました。
freeeでもこの改訂に合わせて、プランによって月に3枚までしかレシートの保存ができなかったものが、スタータープラン以上ならで10GB/月までスキャナ保存ができるようになったことで、ソフト内で仕分けと領収書をまとめて保管することができるようになりました。
その他にも、Amazonなどからpdfで保存した領収書をそのままソフトにアップロードすることができるので、紙でも電子データでも全て会計ソフト内で仕分けと連動して管理することが可能になりました。
freeeを使ってみて分かったデメリット
確定申告の時期になって1年分入力するのは難しい
freeeは便利な会計ソフトですが、確定申告の時期になってソフトを導入して前年度分の申告データを作成するのはおすすめしません。
青色申告の場合、貸借対照表や損益計算書といった財務諸表を作る必要がありますが、これらの財務諸表を作るには通帳と現金の動きを完全に把握していなければいけません。
年度が変わってから数字を合わせようとすると大変な労力がかかります。
可能なら決算年度の早いうちに始めて、1ヶ月に1度は仕訳処理をしておくと楽に決算を迎えることができます。
口座の同期が停止することがある
freeeは自動で銀行口座から明細を取得してくれます。
しかし、口座やカードによっては、一時的に口座の同期が停止することがあります。
マイナーな銀行だったり、口座だったりすると1~2ヶ月口座の同期ができなくなってしまいます。
たいていは、夏場などの個人事業主農家の決算に関係ない時期でのことなのであまり影響はありませんが、以前まで私が使っていた楽天デビットカードは2019年から同期非対応となって使用することができなくなってしまいました。
その場合、別なカードに乗り換えれば問題なく使用することはできますが、カードを変えるのは手間がかかるのでデメリットとして紹介します。
開始設定が分かりにくい
農家の場合は、前年度まで白色で申告をしていた人がほとんどだと思います。
前年度まで事業を経営しているので、現預金や資産の状況を初期入力しなければいけません。
freeeでは、前年度までの資産は開始残高というところに入力します。
しかし、確定申告の時に全部設定すればいいやと思い設定しないまま使い始めてしまいました。
さらに、freee使用開始年度しか開始残高の設定ができないことに気づかないまま、実際は活用しなかった2018年分のデータを入力していて年度を締めてしまっていたので後から入力しようとして開始残高の項目が出てこなくて探すのに時間がかかりました。
(2018年のデータを削除して2019年を初年度にすることで開始残高の設定は出来ました。)
月々の使用料がかかる
freeeはパッケージ買い切りのソフトではないため、月々の使用料が発生します。
1ヶ月当たりの金額は少ないですが、使用料としてある程度の金額がかかります。
とはいえ、クラウド型のソフトなので、買い切りのソフトと違い追加料金を払うことなく税改正などの対応をおこなってくれるのでコストパフォーマンスはいいとソフトだと思います。
楽天銀行とのAPI連携が停止になった
2022年2月24日をもって楽天銀行とのAPI連携が停止になりました。
これまで自動で明細を取得で来ていたものができなくなりかなり不便になりました。
楽天銀行は預金金利も高く、条件によっては無料で振り込みもできるため、支払用の口座としてはかなり優秀なので、利用している人も多いのではないでしょうか?
連携が再開されることを願っていますが、freeeと楽天銀行の会社間の問題なので、どうなるかわかりません。
まとめ
今回は私がクラウド会計ソフトfreeeを実際に数年間使ってみて感じたメリットとデメリットを紹介しました。
私の周りで話をしていると「米作りはいいんだけど経理は面倒だ」という方が結構いらっしゃいます。
よくよく話をすると、紙と電卓で作業していたり、エクセルで四苦八苦しているとのこと。
結果として、難しいし時間がかかるのでよけいに経理は面倒という気持ちになります。
そういった人たちにこそfreeeを使って経理の自動化を試してもらいたいです。